准看護師について調べたこと

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正看護師と准看護師、同じ「看護職」ですが、異なる資格です。

私もまずはじめに「正看護師か准看護師か、どちらを目指すのか」を検討する必要がありました。

私は美容クリニックに勤めていたこともあり、看護師の友人が多くいます。
その中には、社会人経験を経てから30代で、准看護師資格を取得した人が数人いたため、私も初めは深く考えもせず、2年で仕事が始められるという思いから准看護師で良いかなという気持ちでした。

しかし、色々調べて、主人と相談した結果、私の場合は正看護師を目指すことにしました。
この記事では、私が参考のために調べた「准看護師について」をわかりやすくまとめています。

准看護師とは?

准看護師は、看護職の1つですが、看護を行う上で、指示の必要性の有無に違いがあります。

看護師(5条)「看護師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする。

准看護師(6条)「准看護師」とは、都道府県知事の免許を受けて、医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、前条に規定することを行うことを業とする。

保健師助産師看護師法

じょく婦とは、漢字で「褥婦」と書くのですが、調べるまでは意味もさっぱり分かりませんでした。
じょく婦は、分娩終了後の母体が正常に回復するまでの期間における婦人のことを言うそうです。

保健師助産師看護師法から引用した内容によると、看護師は、「療養上の世話」「診療の補助」と大別されており、「療養上の世話」は、医師の指示がない限りは,原則として看護師が独立した業務として行うことができます

しかし、准看護師は、医師、歯科医師又は看護師の指示がないと、看護ができないということになります。

40代の私にとって、准看護師は魅力的?懸念点はある?

高校を卒業する10代、また20~30代と40代とでは全然違います。
40代の私目線で、准看護師資格を取得することが魅力的だと感じる懸念点について挙げていきます。

准看護師が魅力的だと感じる点

私が思う、准看護師が魅力的な点は以下の通りです。

  1. 入学要件は、中学校卒業以上
  2. 2年間で資格取得
  3. 最短2年で仕事に就ける
  4. 授業は午後から夕方まで(実習期間中は午前・午後とも有)
  5. 仮に資格試験に落ちたとしても、別の都道府県で別日に開催されている試験を受けることが可能
  6. 准看護師試験の合格率は、毎年97~98%と高い

1.入学要件は中学生以上

入学要件が中学生以上なので、何らかの事情で高校に進学しなかった方でも受験資格があります。
資格を取得し、手に職を持ち、安定した仕事が得られると考えると、漠然と将来への不安を抱く方は、その不安を軽減することができるでしょう。

私は、専門学校卒なので受験資格は満たしていました。

2.2年間で資格を取得できる

1890時間以上の授業・実習を受けることで、准看護師試験を受験することができます。

学校により異なりますが、私が検討した学校は、授業は13時~17時30分、臨地実習期間は8時~17時でした。
その為、午前中は仕事や家事・育児、午後は学校と働きながら資格取得を目指すことができます。
しかし、実習期間は8時~17時のため、場合によっては仕事を休んだり、実習が始まったら辞めなくてはいけなくなる可能性もあります。
そのため、看護学生に理解のある職場で働く必要があるでしょう。

3.最短2年で仕事に就ける

学生期間中は、安定した給料を得ることは難しいです。
そのため、すぐにでも働きたいと思っている方にとっては、2年の学生生活を経て、准看護師の資格を取得できたらすぐに働けるというのは、大きなメリットでしょう。

私も、学生生活をスタートするのが46歳ということを考えると、早く資格を取得して、早く働きたいという気持ちになり、准看護師にも魅力を感じていました。

4.授業は午後から夕方まで(実習期間中は午前・午後とも有)

先にも述べましたが、私が検討した学校は、授業は13時~17時30分、臨地実習期間は8時~17時です。(学校により異なります。)
そのため、午前中、授業後にアルバイトをしながら資格取得を目指すことも可能です。
しかし、実習期間中は午前中はアルバイトもできませんし、課題や勉強もあるため、体力、精神力ともに必要になるでしょう。

私の友人の1人は、午前中に勉強や家事を済ませ、午後に学校に通っていました。子供もおらず、働いていなかったので、しっかりと学習時間を確保できたと言っていました。

5.仮に資格試験に落ちたとしても、別の都道府県で別日に開催されている試験を受けることが可能

准看護師の試験は、都道府県ごとに開催されているため、万が一試験に落ちたとしても、受験地域を変えれば複数回受験することも可能です。
万が一を考えたくはないですが、精神的余裕は生まれ、「まずは准看護師資格を目指そう」と考える方も多いと考えられます。

6.准看護師試験の合格率は毎年97~98%と高い

令和4年から平成30年まで、過去5年間の合格率です。

令和4年  97.9%
令和3年  98.0%
令和2年  99.0%
令和元年 96.0%
平成30年 96.9%

毎年合格率は高いので、資格取得しやすいと考えて良いと思います。
早く仕事に就きたいと考えている人が多いため、試験勉強に必死に取り組む方も多いですし、万が一試験に落ちたとしても、別日に開催される試験を受験できるため、このような高い合格率で推移しているのでしょう。

准看護師になる場合の懸念点

続いて、准看護師になる場合の懸念点です。
すぐに目先のことばかりに囚われがちな私にとっては准看護師の学校は魅力的なのですが、冷静になって、懸念点もあげてみます。

  1. 正看護師よりも給料が低い
  2. 求人が少ない
  3. 日本看護協会では、准看護師は廃止して看護師に一本化することを目指している
  4. 都道府県によっては准看護学校がない、又は閉校している
  5. 自分の判断で仕事や指示ができない
  6. キャリアアップが困難

1.正看護師よりも給料が低い

厚生労働省の調査によると、准看護師の全国的な平均年収は約418万円(令和4年)です。

年収の内訳は、月収の12ヶ月分に年間の賞与を加えたものです。
月収と賞与の内訳は、月収約29.6万円、賞与約62.7万円です。

決して少ない訳ではないですが、正看護師の平均年収が508万円(令和4年)なので、年間にすると90万円も差が出ます。
やはりお金は大切…。長期的に考えると、正看護師の方が良いかなと思ってきます。

出典:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」

2.求人数が少ない

実際に、准看護師の友人に聞いてみたところ、以下のような回答を得られました。

准看護師の求人が少なくて、通勤に1時間半もかかる所に就職せざるを得なかった。

就職活動の際、准看護師の求人は限られていた印象だったそうです。そのため、通勤に1時間半程かかる病院に就職することとなりましたが、人が足りていなかったようで、不安を抱えて仕事をしていたと…。
結局、往復の通勤時間、激務、夜勤などで体調を崩し、6ヶ月程で辞めてしまったそうです。。

准看護師の学校から進学して正看護師を目指そうかと思ったが、プラス2年も学生を続けることについて旦那に反対された。はじめから正看護師の学校に行けば良かった。

准看護学校に通う中で、プラス2年間学生を続け正看護師になるために進学も考えたそうです。
正看護師であれば、「業務の幅が広がり、キャリアアップを目指すことができると考えるようになったから」ということでした。
しかし、旦那さんに相談したところ、「准看護師でも良いんじゃない」と言われてしまったそうです。
社会人から準看護師を目指したので、自分のことだけではなく、家族のことも考えなくてはいけませんからね。やはり、家族の協力は必要なのだなと思いました。

私自身も、求人情報を確認しましたが、准看護師の求人は正看護師と比較すると少なかったです。
業務の幅は看護師の方が広いことから、准看護師は看護師よりも応募できる求人が限られてしまうのです。
准看護師は単独で看護業務を行うことができず、「医師や看護師から指示を受けて業務を行う」ことが義務付けられています。
一方で、正看護師は国家資格の1つで、自らの判断で看護業務を行うことができます。また、准看護師に対して指示を出すこともできるため、准看護師の上位資格と言えるでしょう。

しかしながら、私が勤めていた美容クリニックでは、正看護師も准看護師も大差はありませんでした。
将来どこで、どんな分野でキャリアを積んでいきたいか、また、自分の卒業時の年齢なども踏まえ考えていく必要があると思います。

3.公益社団法人日本看護協会では、准看護師は廃止して看護師に一本化することを目指している

1996年に、厚生省「准看護婦問題調査検討会報告書」において「21世紀の初頭の早い段階をめどに看護婦養成制度の統合に努める」と提言されたのですが、実際にはいまだ実現には至っていません。

そもそも、准看護師はなぜできたのでしょうか?
それは、今から約70年前、戦後急激な病院増設によって、看護師の需要が増えました。しかし、当時は女子の高校進学率が低く、看護師を十分に増やすことが難しかったのです。
そこで、中学校卒業を要件に看護師を補助する資格として准看護師ができました。

約70年前の戦後と、現在を比較しても、社会の変化・患者や利用者のニーズに応えるためには、准看護師養成は、教育内容・時間ともに少ないため、現在でも准看護師養成の廃止を目指し、准看護師養成所から看護師養成所への転換を促進し、准看護師の研修や進学支援に取り組んでいるとのことです。

4.都道府県によっては准看護学校がない、又は閉校している

日本准看護師連絡協議会によると、准看護師の一般募集はまだ行われていますが、秋田県、山形県、新潟県、福井県、岡山県、沖縄県は、准看護師を養成する学校はありません。

その他の都道府県でも、閉校、閉科している養成所が見られました。

出典:一般社団法人日本准看護師連絡協議会「准看護師養成所一覧」

5.自分の判断で仕事や指示ができない

准看護師でも、基本的には看護師と同じ医療行為を行うことができます。
しかし、自分の判断での医療行為を行なうことはできません。必ず医師や看護師の指示を受けて業務を遂行します。
そのため、患者のためにできることはすぐに対応してあげたいけど、「指示を受けなければやってはいけない」というジレンマを抱えることになるかもしれません。

6.キャリアアップが困難

准看護師として長年の経験を積んでも、看護師長などの管理職へのキャリアアップや、専門看護師、認定看護師といった資格取得ができません。それらを目指すには、看護師資格の取得が必要です。
看護師となってからも、一からキャリアを築かなければならないという壁が立ちはだかります。

また、准看護師は、自分より後輩であっても、准看護師から看護師へ指示を出すことはできません。准看護師の社会的評価の低さを感じ、肩身の狭い思いをする可能性も考えられます。

まとめ

「看護職」を志すにあたり、「正看護師か准看護師か」は10年後、20年後…と将来のことを見据えて考えていくことが必要だと思いました。

40代で正看護師を志す私の考えとして、若くはないので、就職活動ではそれなりに苦労する可能性が考えられます。そのため選択肢はできるだけ多い方が良いと思いました。

また、看護師としてキャリアを積んでおけば、例えば70代になっても何かしら看護師として仕事を続けることができるでしょう。
給与の面でも、准看護師より正看護師の方が高いですし、私の場合、主人の協力も得られことも大きく、正看護師を目指すことにしました。

しかしながら、「仕事をしながら看護職を目指していきたい」「すぐにでも仕事をしたい」など、置かれている立場は皆さまざまです。

目先のことに囚われず、将来のことも考えた上で「正看護師」か「准看護師」かを検討していきましょう。